このサイトは、グラフィックデザイン史の立場からピクトグラムの歴史研究を推進すること、ならびにその成果を現代のピクトグラムの課題に活かす方法を探ることの2つを目的に開設しました。

「ピクトグラム/ピクトグラフ」というタイトルは、「ピクトグラム」を「ピクトグラフ」の観点から見直そうという意図を込めて付けました。両者のことばの意味の共通性と違いについては、「『ピクトグラフ』からアプローチするピクトグラムの歴史研究について」でやや詳しく述べていますが、単純にいうと、「ピクトグラム」が単一のシンボルのことを指すのに対し、「ピクトグラフ」にはピクトグラムの使い方、あるいはピクトグラムを用いた視覚デザインの構成という意味が込められています。その使い方も、サインや道路標識のような単独使用ではなく、特に統計グラフやダイアグラムなどを典型とした複合的なグラフィックスを念頭に置いています。

このような用法の可能性が広く探求され、そのためのピクトグラムが盛んに開発された時代が1920年代から40年代頃までの欧米です。その代表的試みは、いうまでもなくオットー・ノイラート(Otto Neurath)が開発したアイソタイプというピクトグラムを用いたシステムですが、このサイトで注目するのは、その影響下に北米で発達したさまざまな試みです。歴史のセクションでは、主にこうした試みについての論考を掲載しています。加えて、単に歴史研究にとどまらず、このサイトでは、この歴史研究から派生したデザイン実践をデザイン・スタディのセクションで紹介しています。このふたつの切り口でピクトグラムにアプローチするのが、このサイトの特徴ということになります。

掲載した論考の多くは、シンポジウムでの発表や学会誌に掲載した論文です。長文が多く、重複もある内容で、読みにくいかと思いますが、まずは発表時のままで掲載することとしました。今後、新しいトピックについても追加しつつ、調整を行っていく予定です。

伊原久裕 (グラフィックデザイン、ピクトグラム研究)