伊原はグラフィックデザイナーとして、歴史研究で得た知見を活かしつつ、現代のピクトグラムの課題への取り組みを進めています。目下の課題は知的障害の方たちのコミュニケーションの支援に役立つピクトグラムのデザイン開発で、九州大学大学院芸術工学研究院の工藤真生研究室との共同で調査とデザインの試作を進めています。このセクションでは、この活動内容を3つのテキストで紹介します。
最初のテキスト「知的障害とピクトグラムーピクトグラム標準化の歴史の見直しと知的障害者の理解度の視点から」は、障害学会において工藤真生氏との共同で発表した論考で、ルドルフ・モドレイのピクトグラムのデザイン原理を踏まえ、「劇化」のコンセプトに基づいて人型ピクトグラムの類型を抽出し、実験を行いその有効性を検証しました。
第2のテキスト「コミュニケーション支援用ピクトグラムの拡張の試み」は、第1のテキスト末尾で提示した提案に基づいて、JISコミュニケーション支援用絵記号を対象に、そのヴァリエーションを具体化した試作デザインを紹介しています。まだ制作段階でほんの少数ですが、これから増やしてゆく予定です。
最後のテキストでは、むなかた特別支援学校のためのピクトグラムデザインを紹介します。むなかた特別支援学校は、建築から環境グラフィックまでを一貫したポリシーの元に設計された先進的な学校で、2026年4月に開学しました。この学校のピクトグラムは、工藤研究室が中心となってピクトグラムをデザインしましたが、そのデザインコンセプトには、コミュニケーション支援用ピクトグラムの拡張の試みで設定した視点が活かされています。